この法人は、国際NGO「SOS子どもの村」の趣旨に賛同し、その理念を基本として、東北に「子どもの村」を設立し、その運営を通して、わが国における社会的養護の発展に寄与しようとするものです。
2011年3月、東日本に起きた未曾有の大震災で、多くの子どもたちが両親、あるいは一方の親を失いました。子どもたちが衝撃的な体験によって受けたこころの傷を癒し、さまざまな困難を乗り越えて成長していくためには、多くの支えが必要とされています。
子どもの村東北は、大震災によって親を失った子どもたちはもとより、さまざまな事情で家族と暮らせない子どもたちを、愛ある家庭環境と専門的な支援のもと、永続的に養育していきます。
「SOS子どもの村」は、1949年に第二次世界大戦後のオーストリアで創立され、「すべての子どもに愛ある家庭を」をスローガンとして、133ヶ国に広がりました。「SOS子どもの村」は、戦争や災害、貧困や虐待など、さまざまな事情により、親と暮らせなくなった子どもたちを対象として、家庭的な養育の道を切り開いてきました。
「SOS子どもの村」は、国連子どもの権利条約のもとに活動する、子どものための社会的なしくみを開拓していく非政府組織です。
日本では2010年4月、はじめてのSOS子どもの村が福岡で設立されました。育親(里親)を中心とした家庭的養育、それを支える専門家チームと地域、さらに多くの市民や企業による支援が特徴です。
「子どもの村東北」は、子どもの村福岡の支援と、東北の多くの人々の熱意によって準備されました。2012年に入って、「大震災で親を失った子どもたちを支えるネットワークと連携」による里親普及をめざす活動が始まりました。これと並行して、子どもの村東北の設立準備は進められますが、この二つの取組みは「車の両輪」として、福岡の体験を活かしたものです。
折しも、わが国における社会的養護の体制は、「国連子どもの権利条約」(1989年)、「国連子どもの代替養育に関するガイドライン」(2009年)による新しい流れのなかで、「施設養護」から「家庭的養護」へと大きく変化しようとしています。近い将来に設立される「日本 SOS子どもの村」のもと、子どもの村東北が、子どもの村福岡とも連携しつつ、「家庭的養護」の内容を豊かに発展させていくならば、わが国における社会的養護の発展に大きく貢献することになるでしょう。
この事業の成功のためには、行政のバックアップはもとより、多くの市民、企業の参加と支援が欠かせません。この事業が多くの共感と支援を社会に広げ、大きなうねりをつくりだしていくなかで、家族を失った子どもたちだけでなく、あらゆる子どもたちに幸せな環境を保障する社会の実現に貢献できることを確信し、ここに、特定非営利活動法人「子どもの村東北」を設立します。
2012年6月10日 子どもの村東北 設立総会