子どもの村東北スペシャルアドバイザーを務めるロバート キャンベルさん。 東日本大震災以降、縁のつながりを機に鳴子温泉に数多く足を運び復興支援にも尽力。さらに現在も地域の方との交流を深めています。 そんなキャンベルさんが、開村から5年が経った村と子どもたちの現状に何を思い、どんな気持ちで未来を見つめるのか。鳴子に居を構え、キャンベルさんと親交が深い広報担当の理事・宮本 武がその想いを聞きました。

「この村が、問題を抱えた子どもの“ハッチ”になれたら」



ロバート キャンベルさん
最近「子どもの村東北」では、一時保護の受け入れが増えていると聞きました。子どもたちが大変な状況にいることはいまだ改善されませんね。

宮本
開村以降に村で養育した子どもの中には親元に帰ることができた子もいて、お正月や夏休みには育親さんの家にも帰省してくれたこともありました。きっとこれもひとつの家族の形。子どもを中心に、親御さんや育親さん、そして地域の方ともつながる家族の姿だと思っています。

ロバート キャンベルさん
親が子どもを養育できなくなるのは子どもを育てる素質がないからではなく、問題が改善されないことが原因なんですよね。だからこそいろんな大人が継続的に支援することはすごくいいことですね。

宮本
そうですね。そして子どもたちには家族の形を知ると同時に、親と一緒に暮らすチャンスを与えられる人になってほしいとも思います。そのためには、親御さんに対する継続的な支援も必要です。

ロバート キャンベルさん
保護をすることは子どもに緊急避難用のハッチを与えることなのかもしれませんね。私にとってのハッチは、ニューヨークのマンションに供えられた非常階段。そこで本を読んだり音楽を聴いたりすると気持ちが落ち着いたものでした。そんなふうに一時保護された子どもたちには、この村が心落ち着く場所であることを感じてほしいです。

宮本
実際、子どもたちは安心からか、この村に来た時とは別人のように穏やかな表情を取り戻していくんです。それを見るだけでもこの場所の必要性を感じます。そして育親さんにとってもリフレッシュできる場でもありたいです。

ロバート キャンベルさん
“ケアをする人たちのケア”はすごく大切な問題ですもんね。子どもたちを育てる・見守るという責任重大な毎日の中で、少しでも息抜きができるといいですね。

宮本
キャンベルさん、大変な環境にある子どもたちに対して大人の私たちはどのように接すればより優しい社会になると思いますか?

ロバート キャンベルさん
毎日あらゆる場面で子どもたちを見かけますが、そこで触れ合えることができたらいいなと思うんです。今は子どもに気軽に声をかけるにも躊躇してしまう時代。それでも子どもと安心して触れ合える場とはどういう空間か、どうしたらその場をつくることができるかを考えることが大事だと思います。


大学共同利用機関法人 人間文化研究機構
国文学研究資料館
館長 ロバート キャンベル

【スペシャルアドバイザーについて】
子どもの村東北への深い理解とあたたかなご支援を継続してくださっておりますロバートキャンベル様に、当法人よりスペシャルアドバイザーへの就任を依頼し、快く承諾いただきました。このスペシャルアドバイザーとは、子どもの村東北の「応援者」として大所高所からアドバイス並びにご協力を賜るものです。なお、当法人の役員ではありませんので、法人運営に於ける責任を負うものではないことを付記します。