2016年07月14日

第9回「もうひとつの絆フォーラム」が開催されました

6月18日(土)「第9回もうひとつの絆フォーラム」が名取市増田にある「名取市文化会館」で行われ約60名のみなさまにご参加いただきました。  宮城県保健福祉部子育て支援課子ども育成班班長吉岡弘様からは、わが国の現状や人口構造、宮城県の地域的特性や社会的養護の特徴などから、平成42年までの家庭的養護推進計画の目標や取組について報告されました。宮城県は里親等委託率を53.2%と全国トップの目標値を掲げており、虐待予防・家族再統合の取組なども併せて行っていくこととなります。

また、特別講演では、今年3月まで仙台キリスト教育児院院長であられた大坂欣哉先生から、「子どもたちの幸せな未来のために」という題でお話しいただきました。育児院は、明治38年の大凶作のときに設立され、今年で111年目になります。開設当時は、石井十次氏の岡山孤児院、1870年に開設されたイギリスのバーナードズ(1870年開設)がモデルになったそうです。バーナドズでは、小舎制(コテージシステム)や、子どもの長所を引き出し、すべての子どもたちが自らの可能性を成し遂げる機会を与えられることに価値を置いた支援、より良い養護のために運動し、子どもの権利を擁護するための活動をしており、現在では、毎年11万人の児童青少年とその家族に対して直接的な支援を行っています。この内容は、現在の日本の将来像として掲げられている「家庭的養護の推進」をはじめとする目標と同じ内容であり、すでに1世紀も前から実践されてきたということです。大坂先生には、育児院やバーナードズが開設当初からずっと大切にしていること、現在はどのように展開しているかということを100年の経過を紐解くようなお話でした。

また、子どもたちへの理解についてのお話しもありました。「この子らを世の光に」という言葉を残し亡くなった糸賀一雄氏(近江学園)の実践は「子どもを中心に」にして考えられていることが特徴であり、ここに、私たち大人が子どもたちを地域で支えていくときの視点・視座があるとのことでした。大坂先生は、子どもは18歳には18歳でしか見えない世界があり、10歳なら10歳にしか見えない世界、5歳でしか味わうことができない世界がある。そういう子ども期を積み重ねて成長している。決して大人になることだけではない大切な時期であること。また、その時代時代で子どもは大人を鋭く視ている。18歳選挙もその一つで、私たちは、投票のやり方を教えるのではなく、本質は子どもたちからみえる世界を社会に反映していくことが今日求められているとのことでした。これから社会的養護、子育てが社会化していくということについて、わが国や海外の児童を取り巻く状況を過去・現在・未来と辿りながら、身近な家庭での子育てや介護なども合わせ、なぜ今家庭の中で子どもは何を必要としているのかを優しい言葉でお話し頂きました。

県内で里親をされている千葉智美さんに登壇していただき、進行役にみやぎ心のケアセンター副センター長の山崎剛さんによるトークセッションが行われました。トークセッションでは、千葉さんから里親だからこそ味わえる喜びについてお話いただきました。講演いただいた大坂先生からの助言などもいただきました。

今後もこのようなフォーラムや研修を継続しながら、“里親制度の普及”や“学び”にも力をそそいでまいります。みなさまの参加をお待ちしております。